遺産分割協議がまとまらないとき、実家の不動産はどうなる?

この記事の要点
遺産分割協議がまとまらないあいだ、実家の不動産がどのような状態になるかを整理します。
- 分け方が決まるまでは、実家は相続人全員で共有している状態になる(出典:法務省)
- 共有のままでは、売却などの処分に相続人全員の合意が必要で進めにくい
- 話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判という手続きがある(出典:裁判所)
親が亡くなったあと、「実家を誰が引き継ぐか」「売って分けるか、残すか」で家族の意見が分かれ、話し合いが止まってしまうことがあります。この記事では、遺産分割協議がまとまらないあいだに実家の不動産がどのような扱いになるのか、共有のままで困ること、家庭裁判所の手続きのあらましを、一般的な流れとして整理します。個別の分け方の判断は扱いませんので、進め方は弁護士や司法書士などの専門家にご相談ください。

遺産分割協議とは、どんな話し合いか
遺産分割とは、法律で決められた相続人が全員参加して、相続財産の分け方を決める手続きのことです(出典:法務省)。亡くなった方の財産を、誰が、何を、どのように引き継ぐかを話し合う場面を、一般に遺産分割協議と呼んでいます。
話し合いの前提として、まず戸籍をたどって相続人を確定し、対象になる財産の全体像をそろえます。遺言書がある場合は、その内容が話し合いの出発点になることもあります。
話し合いで分け方がまとまったら、その内容を遺産分割協議書として書面に残し、不動産については、まとまった内容で相続登記を行います。なお、遺産分割の話し合いで不動産を取得した場合は、話し合いがまとまった日から3年以内に、その内容での登記を申請する義務があります(出典:法務省)。

協議がまとまらないと、実家は共有のままになる
相続が始まると、原則として、遺産は法律で定められた相続分(法定相続分)の割合で、相続人みんなが共有することになります(出典:法務省)。つまり、分け方が決まるまでの実家は、相続人全員の共有財産という状態です。
共有状態では、管理や処分の進め方を相続人同士で決めなければならず、不便なことが多くなると法務省も説明しています(出典:法務省)。とくに売却のような処分は、共有者全員の合意がなければ進められません。一人でも反対している相続人や、連絡が取れない相続人がいると、実家を売る話そのものが止まってしまいます。自分の持ち分の割合だけを他の人に移すことはできても、実家全体を売ることは、全員の合意なしにはできません。
さらに、時間が経つと、その間に次の世代の相続が発生し、権利を持つ人がさらに増えて関係が複雑になることがあります(出典:法務省)。共有の期間が長くなるほど、話し合いを再開するときの負担も大きくなりがちです。まとまらない状態をそのままにせず、早めに次の進め方を考えることが大切です。
なお、実家が空き家でも共有状態は変わりません。草刈りや見回りなど日常の管理を誰が担うかも、相続人同士で決めておくと安心です。
家庭裁判所の調停・審判という進め方がある
相続人同士の話し合いで分け方がつかない場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます(出典:裁判所)。調停は、裁判所の調停委員会が間に入り、双方から事情を聞いたり資料を出してもらったりしながら、分け方についての合意を目指して話し合いを進める手続きです(出典:裁判所)。申立てでは、申し立てた人以外の共同相続人全員を相手方にする必要があります(出典:裁判所)。
調停で話し合いがまとまらず不成立になった場合には、自動的に審判の手続きが始まります(出典:裁判所)。審判では、裁判官が、双方から聞いた事情や提出された資料など一切の事情を考えて、分け方についての判断を示します(出典:裁判所)。
申し立てるかどうかはご事情によって異なります。手続きや必要書類に不安があるときは、弁護士などの専門家や家庭裁判所の案内で確認してください。

まとまるまでの間に、確認しておきたいこと
話し合いが止まっているあいだにも、進められる準備があります。
一つ目は、相続人と財産の整理です。戸籍関係の書類をそろえて相続人を確かめ、実家の登記事項証明書や固定資産税の通知書などで、不動産の内容を確認しておきます。相続人が誰かを法務局が証明する法定相続情報一覧図の制度もあり、相続手続きで使えることがあります(出典:法務省)。
二つ目は、相続登記の期限への対応です。分け方が決まらなくても、相続登記の申請義務の期限は進んでいきます。期限内に通常の相続登記が難しいときのために、自分が相続人であることを法務局へ申し出る「相続人申告登記」という簡易な制度があります(出典:法務省)。使えるかどうかは法務局や司法書士にご確認ください。
三つ目は、専門家への相談の切り分けです。分け方の争いについての相談は弁護士、登記の手続きは司法書士、税金のことは税理士というように、聞きたい内容ごとに相談先を分けると話が整理しやすくなります。実家の売却の見通しを知りたい場合は、不動産会社へ査定を相談することもできます。睦和商事では、最初のご相談と、机上での査定、現地を確認しての査定は無料で対応しています。なお、売却が決まった場合の仲介手数料や、専門家への報酬は別途かかります。
よくある質問
Q. 協議がまとまらないあいだ、実家を売ることはできますか。
A. 実家全体を売るには、共有者である相続人全員の合意が必要です。一人でも合意していない相続人がいると、実家全体の売却には進めません。まずは分け方についての話し合いを進めることが先になります。進め方に迷うときは、弁護士や司法書士にご相談ください。
Q. 調停を申し立てると、すぐに結論が出ますか。
A. 調停は、調停委員会が双方の事情を聞きながら合意を目指す話し合いの手続きで、その場で結論が決まる仕組みではありません(出典:裁判所)。まとまらなければ審判へ移りますが、期間や回数はご事情によって異なります。詳しい見通しは、専門家や家庭裁判所の案内でご確認ください。
Q. 話し合いを再開するために、家族だけでもできることはありますか。
A. 相続人が誰か、実家の名義や税金の書類がそろっているかといった事実関係の整理は、家族側でも進められます。情報がそろうと、話し合いを再開するきっかけになることがあります。
まとめ
遺産分割協議がまとまらないあいだ、実家は相続人全員の共有のままとなり、売却には全員の合意が必要で、手続きが進めにくい状態が続きます(出典:法務省)。時間が経つと次の相続が発生して関係が複雑になることもあるため、放置せず、早めに進め方を考えることが大切です。話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判という手続きもあります(出典:裁判所)。
睦和商事は鹿児島市で、相続した実家や空き家のご相談を受け付けています。分け方がまだ決まっていない段階でも、売却の流れや査定の進め方をご説明できますので、まずは現状の整理から一緒に始めましょう。
参考にした公的情報
2026年10月30日時点で確認した情報です。
編集方針
公的機関の一次情報を確認して作成しています。制度や個別の判断は、掲載した原典や関係窓口・専門家等でもご確認ください。
この記事は、公的機関の情報などをもとにまとめた一般的な内容です。税金や法律の取り扱いは、個々のご事情や時期によって異なり、制度は変わることがあります。実際に手続きを進める際は、税務署・法務局・市役所などの窓口や、税理士・司法書士・弁護士などの専門家にご確認ください。