2026年10月15日 / 認知症・成年後見

成年後見人が本人の自宅を売るとき|家庭裁判所の許可と準備資料

発信:睦和商事 / 最終更新:2026年10月15日

日の差す和室の居間とお茶(AIで作成したイメージ)
AIで作成したイメージです(実在の物件・場所ではありません)

この記事の要点

本人の居住用不動産の売却で、許可申立て前に確認したい点を整理します。

この記事の流れ:まず登記名義と成年後見の類型を確認、本人の居住用不動産に当たるか、なぜ許可が問題になるか、売却理由・本人の生活費・住まいを説明する資料、許可申立てと売買契約の順序で確認すること、不動産会社・司法書士・家庭裁判所の役割を区別

まず登記名義と成年後見の類型を確認

親御さんの成年後見人になり、自宅の売却を考え始めたとき、最初に気になるのは「家庭裁判所の許可が要るのか」という点ではないでしょうか。この記事は2026年10月時点の制度にもとづく、一般的な説明です。制度は改正されることがあります。個別の事案の判断は、家庭裁判所の窓口や、司法書士・弁護士などの専門家にご確認ください。

許可の話に入る前に、二つのことを確認します。一つは、売ろうとしている不動産の名義が誰になっているかです。申立ての標準的な添付資料には登記事項証明書が挙げられているため、早い段階で取得して、名義人と登記されている権利を見ておくと整理しやすくなります。ただし、登記事項証明書から分かるのは登記の内容までです。本人が住んでいるかどうかや、許可が必要かどうかは、この資料だけでは判断できません。

もう一つは、本人の類型と、後見人等に与えられている権限の範囲です。保佐人・補助人が居住用不動産の処分について申立てできるのは、不動産を処分する代理権が付与されている場合に限られるとされています。後見人の場合だけでなく、保佐や補助の場合も、代理権の範囲を先に確かめる必要があります。

本人の居住用不動産に当たるか、なぜ許可が問題になるか

民法859条の3は、成年後見人が、成年被後見人の居住の用に供する建物またはその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定などの処分をするときは、家庭裁判所の許可を求めています。許可を得ずに処分すると、その処分は無効になるとされています。売却だけでなく、賃貸借契約の締結や解除、抵当権の設定、建物の取り壊しなども処分に含まれます。

許可が必要な「居住用不動産」は、現に住んでいる家だけではありません。本人が病院や施設に入所していて、将来戻る可能性がある不動産や、入所前に住んでいた不動産も含まれるとされています。そのため、「今は空き家だから対象外」「施設に入ったから関係ない」と決めつけることはできません。

ここで売主側(家族)が整理しておけるのは、事実の記録です。たとえば、本人がいつまでその家に住んでいたか、今はどこで暮らしているか、入所前の住まいはどこだったか、といった経過をメモにしておきます。これは相談のためのメモであり、法令上の申請書類ではありません。許可が必要な不動産に当たるかどうかの最終的な判断は、家庭裁判所の案内を確認し、専門家に相談して進めてください。

売却理由・本人の生活費・住まいを説明する資料

許可の申立てでは、処分の必要性を示す資料が求められます。売却する場合の標準的な添付資料としては、契約書の写し、処分する不動産の評価証明書、不動産業者作成の査定書、登記事項証明書などが挙げられています。申立手数料は収入印紙800円分とされています。評価証明書の取得先や、ほかに必要な書類、書式は、申立先の家庭裁判所の案内で確認してください。

これらの資料に加えて、家族の側で次のようなメモを作っておくと、売却の理由を整理しやすくなります。なお、このメモの内容を求められるかどうかや、書き方は、家庭裁判所の案内によります。

許可申立てと売買契約の順序で確認すること

申立てと売買契約のどちらを先にするかは、よく迷う点です。福岡家庭裁判所は、売却を検討している段階ではなく、売却相手と売却金額が決まってから申立てをするよう案内しています。契約書の写しが添付資料に挙げられているのも、このためと考えられます。

一方、千葉家庭裁判所のQ&Aでは、家庭裁判所の許可を停止条件とする売買契約を先に結ぶ方法も、特約として可能とされています。ただし、条件が成就しなかった場合、つまり許可が得られなかった場合の取り決めについて、本人が不利益を受けないようにする必要があります。このように、案内の内容は裁判所ごとに異なる可能性があります。実際に申立てをする家庭裁判所の案内を、先に確認してください。

全体の順序のイメージは次のとおりです。個々の手続きの詳細は、各窓口でご確認ください。

  1. 登記名義と、本人の類型・代理権の範囲を確認する
  2. 本人の居住用不動産に当たるかを、経過のメモとあわせて整理する
  3. 不動産業者に査定書の作成を依頼し、売却相手と売却金額の話を進める
  4. 申立先の家庭裁判所の案内に沿って、契約書の写しなどの資料をそろえ、収入印紙800円分の手数料とともに申立てをする
  5. 許可を得たうえで売却を進める。許可を得ずに処分した場合は無効となるとされている
許可申立てと売買契約の順序で確認すること:本文の5項目をまとめた図解

不動産会社・司法書士・家庭裁判所の役割を区別

自宅の売却では、複数の関係者が出てきます。それぞれの役割を混同しないことが大切です。

家庭裁判所は、居住用不動産の処分を許可するかどうかを判断する機関です。許可が必要かどうか、どの資料が必要かといった点は、家庭裁判所の案内が基準になります。不動産会社は、売却価格の査定や、査定書の作成、買主との条件の調整といった売却の実務に関わります。査定書は、申立ての添付資料に挙げられている資料の一つです。ただし、許可の判断そのものは不動産会社ではなく、家庭裁判所が行います。

申立書類の作成や手続き全般については、司法書士や弁護士などの専門家に相談できます。どこまでを依頼できるかは、専門家ごとに異なるため、最初に確認してください。

まとめ

成年後見人が本人の居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要で、許可なしに処分すると無効になるとされています。現に住んでいる家だけでなく、入所前に住んでいた家や、将来戻る可能性がある家も対象に含まれます。まず登記名義と、後見・保佐・補助の類型や代理権の範囲を確認し、本人の住まいの経過と、売却理由や生活費のメモを整理しておくと、その後の相談が進めやすくなります。

申立てと売買契約の順序は、家庭裁判所によって案内が異なる場合があります。実際に申立てをする家庭裁判所の案内を確認し、手続きは司法書士や弁護士などの専門家にご相談ください。鹿児島市内の不動産の売却に特化した睦和商事(かごしま売却相談室)では、無料で査定の相談を受け付けています。ご相談はお気軽に。

参考にした公的情報

2026年10月15日時点で確認した情報です。

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編集方針:公的機関の一次情報を確認し、生成AIを補助的に使用して構成・校正しています。制度や個別の判断は、掲載した原典や関係窓口・専門家等でもご確認ください。

この記事は、公的機関の情報などをもとにまとめた一般的な内容です。税金や法律の取り扱いは、個々のご事情や時期によって異なり、制度は変わることがあります。実際に手続きを進める際は、税務署・法務局・市役所などの窓口や、税理士・司法書士・弁護士などの専門家にご確認ください。

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